北海道の北の果て、網走刑務所に橘真一は送られてきた。そこには、青鬼と呼ばれる冷酷無比の刑務所長がいた。ある日、使役として森林伐採に出掛けたところ、青鬼は真一を殺そうと考え、死の木登りを命じる。それは、今にも倒れそうになった高い木の頂に登って、木を揺すぶって倒すというものだった。だが、真一はカスリ傷一つ負わず、逆に青鬼は木の下敷になって大怪我をする。この出来事が刑務所長への反逆とされ日の光ひとつ差し込まない狭い独居房に入れられる真一。気が狂いそうになる寸前、隣の独房に通じる秘密の穴を見つける。隣の独房にいたのは、日系露人のマルコフという瀕死の男だった。自分が死んだら身代わりに棺桶に入って、脱獄するようにとの言葉を残し、息を引き取る。果たして、真一は棺に入り、見事脱獄に成功する。そして、真一は東部ノサップへと姿を現す。この地方一帯は極東貿易の南海が支配していた。そして、真一にとって南海は絶対に許せない人物でもあった。というのは、真一の父・清衛が元々極東貿易の社長であったのだが、最も信頼していた番頭・南海に嵌められ、憲兵に逮捕され、命を絶つことになってしまったのだった。そして、また真一も父を死に追いやった憲兵を刺し殺し、現在の境遇を託つことになってしまったからだった。南海の屋敷に忍び込む真一、そこで真一は十五年前に将来を誓いあった雪子に出逢うのであった。彼女は、いまは南海の妻となっていたのだった。雪子の誕生パーティー当日、復讐のため拳銃を片手に南海の前に現れる真一。時を同じくして、雪子が四人組に誘拐される。というのは、雪子の誕生プレゼントであるダイヤの首飾りを狙っての犯行だった。逃げる誘拐団を追う南海の用心棒たち、そして真一と南海。雪の大雪原で、猛烈な迫撃戦が行われる。そんな中、誘拐団の一人の辰がダイヤを一人占めにするため、仲間のタニーとマキが撃たれる。この辰の汚い手口に憤る轟と彼と旧知の真一。辰に落とし前をつける轟と真一。だが、そのために、南海の用心棒達に包囲されてしまう。一計を案じた轟が、雪子を引き渡す代わりに、用心棒を撤退させることを要求する。果たして、広い大雪原のど真ん中で、拳銃を握りしめる真一と南海。火を噴く拳銃。空白の時間が流れる。真っ白な雪を血に染めながら倒れる南海。ひとり雪子を残し、真一と轟は馬に乗って地平線の彼方へと去っていくのであった。
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